ではまず最初にどうして入れ歯が噛めないのか?
普通のご自身の歯と何が違うのか?
そして本来のあるべきご自身の歯、どういう状態が本来の形なのか?
その違いを分かっていただくと、何故入れ歯でうまく噛めないのかということが分かってくると思われます。
噛むという行為
噛むということは、物を粉砕するということです。
食べ物が口に入って、歯で細かく粉砕して飲み込んでいますよね?
これは歯だからどうこうということではなく、すべてに共通します。
人間という存在は
肉食動物と草食動物がもちえる機能の両方をもった存在なのです。
つまり
①カチカチ噛む(上下的な運動)
②すり潰す(左右にスライディングさせる運動)
この①②両方によって行われています。
ですから、この両方が持てない場合には残念ながらうまく機能を果たすことが出来ないのです。
①②両方出来るようになるには
上下の固定式の物が必要となります。
自分の歯はまさに、上下に固定されたもの、です。
そしてもう歯がない場合には
上顎、下顎に入れ歯ではなく
インプラントを埋込み、被せ物により人工歯を再建する、ということです。
しかしながら、
それではさすがに費用がかかってしまいすぎ
また、治療の期間がかってしまう、というお悩みの方は多いのです。
そこまではいかないけれども、もっと安定して噛めるものは出来ないのか?
という方にこのインプラント固定式入れ歯(インプラントオーバーデンチャー)をお勧めいたします。
まず、このインプラント固定式入れ歯(インプラントオーバーデンチャー)というのは
上側でも下側でも両方できるものではあります。
しかし、現実的に上側の場合には固定式インプラントとほぼ変わらない費用が発生いたします。
ですので費用対効果ということを考えるのならば、下側に付けるものだと思っていただいたほうがいいです。
例えば普通の一戸建ての民家を建てると思って下さい。
大きくて太い柱が4本入ればしっかりしたものができると思います。
しかし、広い平屋の大きい家をもし建てようと思ったならばどうでしょうか?
柱が4本ではちょっと、柱同士を梁で繋ぐわけですが梁が強度的に難しくなります。
ですから柱と柱の間にもう1本柱を、
さらに広ければその間にもう1本柱を、
というふうに梁がたわまないように柱の本数を多くします。
つまり
強い力を支える、広いところの力を強く支える
ということに於いては柱の本数は多いほうが有利なのです。
では次に
スライドさせる、すり潰す
ということをするには
左右に動きますから、
左右に擦り合わせるように動きます。
なので隣り合う歯の高さが同じでなければうまく擦り合わすことが出来ないのです。
もしあなたが例えば今
上の入れ歯で困っている
下の入れ歯で困っている
と思われていたとしても
上と下で噛んでいますので
上と下、例えば上がたわんでいるならば下はそのたわみに合わせた形にしなければカチンと噛み合うことはできません。
しかしながら
擦り合わそうとした時に
たわんでいるわけです。
でこぼこしているわけです。
その時点で回転力がかかってしまい入れ歯が落ちてくるのです。
基準となる面がないとまっすぐなものは立たない
ですから仮に上の入れ歯が今困っている。
下の入れ歯が困っている
とはいっても、結局上の入れ歯と下の入れ歯の両方を触らないといけないのです。
両方を触るということが実は必要なのです。
例えば家を建てる時にはまず更地にしますよね。
まずは更地にして
地面を水平にして固まったら、基礎を建てますよね?
坂道に傾いたままの状態では家は建てませんよね?
まずは水平的な地面というのを造り、その上に基礎を造り、柱を立てて家を建てます。
家を建てる時と同じように
基準となる面がないと真直ぐなものは立たないのです。
歪んでいる柱は簡単に倒れてしまいます。
スパッと切れます。
紙を上から手のひらでいくら押しつぶしても紙ってなかなか切れませんよね。
切れる力の差、より強い力が必要になってしまうのです。
つまり
動くものと動くもの同士で物を挟んでつぶす、
両方が変形しますのでうまく粉砕することができないのです。
例えば腰が曲がっている方に重宝されているスポンジのように柔らかいベッド、よく売れていますよね?
腰の曲がった形に合わせベッドのマットレスが変形してくれるのです。
ですから痛みが出にくいんですね。
すごくいい
いちごをちょっと傾けてあげれば、
板を傾ければいちごはコロコロと転がっていきます。
スポンジの上に乗っているイチゴはあまりその場から動きません。
ンチャー)は固定されるもの
切れますよね。
なったところでニンジンが切れ始めていきます。
そしてスパンと切れるのです。
上側の歯は頭蓋骨と一体化している
上側の歯って実は動かないんです。
これは頭蓋骨の模型です。
上の歯というのは実は上顎と頭の骨が一体化しております。
頭蓋骨が傾いた時に一緒にその角度に合わせて動くことはあるのですが、
上の歯単独がどこかの方向へ動いてしまうということはないのです。
それに対して下顎というのは
頭から筋肉でもって、下の歯は下顎と一体化した状態でぶら下がっているだけなんです。
前にも後ろにも右にも左にも上下にも360度振り子のように自由に動くようになっている。
これが下の顎です。
横から見るとこうです。
ひっくり返したところを上から見るとこうです。
見えている歯は頭蓋骨にくっついている上の歯です。
上顎真直ぐ真上からがもちろん強いですよね。
ればバサッといきます。
斜めからすると切れるかもしれない。
でもニンジン動いちゃいますよね。
ずれちゃいます。
その時に下顎のほうに簡単に外れるような入れ歯(義歯)がかかれば、簡単にずれちゃうんです。
噛めないんです。
つまり上と下どちらが得かといえば下が固定式になっている方が実はすごく噛みやすいんです。
正しい使い方をすれば。
上と下が動く場合は両方がずれます。
よってうまく噛むということが出来ないのです。
しかしながらやはり下側を固定式にしたとはいえ、無理な力がかかった時には外れるようにしておいた方が、柱が支える本数が少ない場合には有利です。
本数が多ければ外れないようにしておいても問題はありませんが、本数が少ない場合、弱い場合には折れる可能性があります。
ですので無理な力がかかった時には外れるような設計にしておかなければ次の弱いところが壊れてしまいます。
値段を安くするということで言えば、柱の本数を減らせば安くなるんです。
単純ですよね。
マンションを建築する時と全く同じです。
マンションの柱、太くて長くて何本か入っていれば、例えば四隅に太くて長い柱が4本ボンボンボンと入っていれば丈夫なビルが建ちます。
1本抜けば安くできるんですね。
単純な話です。
ただ崩れます。
次に面積の問題です。
力がかかると思った時に、
実は噛む力というのは女性でも100kg、男性では200kgかかると言われています。
「へえ、そんなに力が?私そんなに力がないわよ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
実はそのくらいの力がかかっております。
今噛めていないから、力がかかっていないだけ、であり
噛めるようになると、女性でも100キロ程度の力で噛んでいます。
噛めるようになればその力が発揮されるようになっていくのです。
噛めるようになったことを想定して設計しなくてはいけない
筋肉においては年齢制限というのはありません。
いくつになられたとしても筋肉は働かせれば強くなろうとします。
年齢制限がないのです。
今まで噛めてないから、噛んでいなかったから筋肉が衰えているのです。
噛めるようになった途端、その破壊的な力がかかってくるようになります。
つまり女性でも『100kg近い力がかかるんだ』ということを想定して設計をしておかなければ大変なのです。
長く安定して持つということはできないのです。
ある一定の力がかかる時に例えば利き手でないほうをパーにし、利き手の力の強い、例えば人差し指でグッと押さえつけてみてください。
手のひらはへこみ、沈み、強く押さえると痛いですよね。
では次に利き手の手のひらで先程と同じくらいの力で同じ場所を押さえてみてください。
※画像
先程のような突き刺さるような痛みはないんじゃないでしょうか。
どうしてでしょうか?
それは力が分散されたからです。
例えばトランポリンをイメージしてみてください。
トランポリンの上でご自身が立ったとイメージしてみてください。
足元がふらつきますよね。
そして沈み込みますよね。
では次に横になってみてください。
沈みますが沈む量がまったく違いますよね。
そして左右に動いた時に、トランポリンに立った時はすごく不安定でしたが、
横になった状態でコロコロと多少動いたとしても、手を足を大きく広げて大の字に動いたとしてもそれほど沈みませんよね。
不安定になりませんよね。
安定していますよね。
つまり同じ力がかかった時には小さい面積で受けるよりも広い面積で受けた方が安定しやすいということです。
そしてそれは一方向、直線的な方向よりも広い面積のように面積としてなったほうが安定性がいいのです。
ベッドで気を付け、手と足をピタッとつけてコロコロと寝返りを打てば簡単に寝返りを打てます。
では手足を大の字に広げて寝返りを打とうとしたらどうでしょう。
手が突っ張り、足が突っ張り、寝返りが打てませんよね。
何故なら手の先、足の先がつっかい棒になって回転という力を抑えているからです。
上に取り外しの義歯が入った時にもちろん小さいほうが違和感が少ないかもしれません。
しかしながら小さい入れ歯というのは一ヶ所にかかる力はすごく大きいのです。
ですから噛んだ時にすごく痛いのです。
大きい入れ歯はもちろん違和感としてはあるかもしれませんが、噛んだ時の痛みの軽減という意味合いでは実は痛みは少ないのです。
そして回転する時に、回転に対して防止する。
反作用がかかりますから動きにくいという入れ歯(義歯)になるのです。
ですから上の入れ歯(義歯)の場合にはなるべく広い上顎も埋めるような形態をお薦めします。
小さい入れ歯を作れば作るほど痛くなるのです。
噛んだ時に痛いのです。
真ん中をくり抜くという馬蹄型の形態をすることもありますが、
どうしても違和感が大きいという方の場合には、
馬蹄型にし、そして後ろを真ん中で繋ぐということをするだけでも効果は強くなります。
そこをくり抜くとUの字になりますので、変形が一気に起こりやすくなります。
噛んだ時に痛い。
落ちてきやすいということになってしまうのです。
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